ATTO-1310は慢性的なかゆみやアトピー性皮膚炎のかゆみを和らげる効果が期待されています。

長引くかゆみに効くかもしれない新薬の初期結果

なかなか治まらないかゆみは、とてもつらいものです。特に原因がはっきりしない長期間続くかゆみ(慢性そう痒症)や、かゆみが強いアトピー性皮膚炎の方に多く見られます。Attovia Therapeutics社は、かゆみを和らげることを目指した新薬「ATTO-1310」の第1b相試験の初期結果を発表しました。報告によると、一回の投与で両グループとも最大12週間、かゆみが軽減されたとのことです。(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース)

わかりやすいまとめ

ATTO-1310は皮下に一回だけ注射する実験的な薬です。今回の小規模な初期試験では、この薬を受けた人たちが約3か月間、かゆみの明らかな改善を感じました。この薬は、かゆみの原因とされる免疫の信号「IL-31」に作用します。今回の結果はまだ初期段階のもので、薬の効果や安全性を正確に知るには、より大きな試験が必要です。(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース)

試験の内容

この第1b相試験は、米国とカナダの17か所で行われ、ランダム化・二重盲検・プラセボ対照の方法で実施されました。対象は、慢性そう痒症の方26人と、かゆみが強いアトピー性皮膚炎の方26人の2グループです。参加者は、ATTO-1310を4.5mg/kgまたは9mg/kgのいずれかの用量で皮下注射を1回受けるか、見た目が同じプラセボを投与されました。安全性、薬の体内動態、免疫反応、かゆみや皮膚の変化などを調べました。(出典:ClinicalTrials.gov, NCT06787586; Attovia Therapeuticsプレスリリース)

ATTO-1310の仕組みをやさしく説明

IL-31は、かゆみの発生に深く関わる免疫系のタンパク質です。ATTO-1310は、このIL-31そのもの(リガンド)に結合するように作られていて、細胞のIL-31受容体を直接ブロックするのではありません。会社によると、この方法はかゆみを抑えつつ、受容体を阻害する薬で見られる副作用を減らせる可能性があるそうです。(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース)

試験結果のポイント

かゆみは「ピークかゆみ数値評価スケール(PP-NRS)」で測定されました。このスケールで4ポイント以上の改善(PP-NRS4)は臨床試験で意味のある改善とされています。

慢性そう痒症の方の場合:

  • 投与後2週目で、ATTO-1310を受けた人の47%がPP-NRS4を達成しました。一方、プラセボ群は0%でした。
  • 12週目では、ATTO-1310群の82%(17人中14人)がPP-NRS4を達成し、プラセボ群は22%(9人中2人)でした。
  • 12週目にかゆみがほとんどない(PP-NRSが2未満)人は、ATTO-1310群で47%(17人中8人)、プラセボ群は0%でした。

かゆみが強いアトピー性皮膚炎の方の場合:

  • 2週目で、ATTO-1310群の39%がPP-NRS4を達成し、プラセボ群は25%でした。
  • 4週目にはATTO-1310群の44%(18人中8人)がPP-NRS4を達成し、この効果は12週目まで続いたと報告されています。
  • プラセボ群の反応率は4週目の25%から12週目には75%に上昇しました。これは4週目以降に「レスキュー治療」が許可されたためで、後半の比較に影響を与えた可能性があります。
  • 12週目にかゆみがほとんどない人(PP-NRSが2未満)は、ATTO-1310群で28%(18人中5人)、プラセボ群は13%(8人中1人)でした。

会社が報告したp値はすべて名目上のもので、かゆみや皮膚の改善はこの初期試験では探索的な評価項目でした。(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース)

アトピー性皮膚炎の皮膚症状の改善

かゆみが強いアトピー性皮膚炎のグループでは、皮膚の状態も改善しました。湿疹の重症度を測る一般的な指標「Eczema Area and Severity Index(EASI)」を使っています。

  • 12週目の平均EASI変化率は、低用量(4.5mg/kg)で−49%、高用量(9mg/kg)で−62%、プラセボ群は−28%でした。
  • 12週目に少なくとも75%の改善を示すEASI-75は、治療群で44%、プラセボ群は13%。EASI-90は22%対0%、EASI-100(皮膚がほぼきれいな状態)は17%対0%でした。
  • 医師による評価で「ほぼきれい(スコア0または1)」とされた人は、治療群で39%、プラセボ群は13%でした。

4週目から12週目にかけて、改善率がさらに上がりました。(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース)

安全性と薬の体内での動き

会社の報告によると、ATTO-1310は概ね安全に使えました。健康なボランティア1人が軽い発熱のため治療を中止しましたが、慢性そう痒症やアトピー性皮膚炎の患者で副作用による中止はありませんでした。

重篤な有害事象は1件あり、食道裂孔ヘルニアの悪化でしたが、薬とは関係ないと判断されました。抗薬物抗体は健康なボランティアと患者の約7.8%に検出されましたが、薬の体内動態や効果には影響しなかったと報告されています。

単回投与後、血中のIL-31は12週目まで約95%減少し、薬の血中濃度はIL-31を阻害するのに十分なレベルを維持しました。これにより、3か月ごとの維持投与が可能かもしれないとしています。(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース)

専門家のコメント

会社の発表には2人の専門家のコメントが含まれています。1人は、IL-31のリガンドを狙うことで、受容体をブロックする薬で見られる皮膚炎の悪化リスクを減らしつつ、強いかゆみの緩和が期待できると述べています。もう1人は、IL-31を標的にした長時間作用型の生物学的製剤は、アトピー性皮膚炎の患者にとって重要な進歩になる可能性があると話しています。これらはあくまで会社のプレスリリースに含まれる専門家の意見であり、大規模な試験の必要性を置き換えるものではありません。(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース)

今後の予定

Attoviaは2027年前半に、両疾患を対象とした第2相試験を計画しています。ATTUNE-CPUO試験では、北米と欧州連合の約78か所で約300人の患者を募集予定です。ATTUNE-AD試験は、北米、欧州連合、アジア太平洋地域の約60か所で、かゆみが強いアトピー性皮膚炎の約255人を対象に行う予定です。(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース)

知っておきたい背景と注意点

今回の結果は、会社が報告した小規模な第1b相試験の初期データです。ポイントは次の通りです。

  • 試験は小規模で、各グループ数十人程度の参加者でした。
  • かゆみや皮膚の改善は探索的評価であり、安全性や薬の体内動態が主な目的でした。
  • 4週目以降はレスキュー治療が認められており、プラセボ群の反応率に影響を与えた可能性があります。
  • データは会社のプレスリリースによるもので、効果や長期の安全性を確かめるには、より大きく独立した試験が必要です。

これらの点から、結果は有望ではありますがまだ予備的なものと考えるべきです。ATTO-1310が承認され、標準治療になるにはさらなる研究が必要です。(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース; ClinicalTrials.gov, NCT06787586)

医師に相談すべきタイミング

かゆみが続いて睡眠や気分、日常生活に支障がある場合や、赤みの悪化、出血、感染の兆候、急激な皮膚の変化、痛みを伴う新しい発疹などが見られたら、かかりつけ医や皮膚科医に相談してください。治療法はかゆみの原因や全身の健康状態、これまでの治療歴によって異なります。新しい薬を試すかどうかは、状況をよく知る医師とよく話し合って決めましょう。

皮膚やかゆみの変化を記録する場合は、写真や症状のメモを簡単に残すと、医師の診察時に役立つことがあります。

免責事項

この記事は、会社が報告した初期の試験結果と臨床試験の記録をまとめたものです。医療アドバイスではなく、特定の治療を推奨したり避けたりするものではありません。ご自身に合った治療については医師にご相談ください。

参考文献

  1. Attovia Therapeutics. Attovia Therapeutics announces positive topline 12-week results from phase 1b study of ATTO-1310 in patients with chronic pruritus and high-itch atopic dermatitis. Press release. Accessed November 6, 2026.(出典:Attovia Therapeuticsプレスリリース)
  2. ClinicalTrials.gov. Study NCT06787586. ATTUNE Phase 1b study of ATTO-1310. Accessed November 6, 2026.(出典:ClinicalTrials.gov, NCT06787586)
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